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2020年11月18日

お知らせ

福岡市実証実験フルサポート事業
「保育の質を上げる“ドキュメンテーション(写真付き保育記録)”のICT支援」
実証実験開始のお知らせ

 ユニファは、福岡市実証実験フルサポート事業における「保育の質を上げる“ドキュメンテーション※(写真付き保育記録)”のICT支援」の実証実験にご協力いただける福岡市内の保育施設7園をテスト園として決定し、実証実験を開始することをお知らせします。

※ドキュメンテーションとは、子どもたちの会話や行動、その日の活動内容などを写真やコメントで記録し、子どもたちの興味や関心、保育を目に見えるようにすることです。



実証実験を行う背景
【全国における社会課題】
 労働人口の増加分は約8割が女性※1であり、女性の就業率上昇に伴い、1・2歳の保育施設利用率が急激に上昇しており※2、今後も上昇が見込まれます。一方、保育士不足は深刻であり、平均求人倍率は1.93倍※3と高くなるものの、保育士の離職率は約18%と、看護師と比較しても約2倍近く※4と非常に高くなっています。離職原因は、職場の人間関係、給与(平均322万円)に続き仕事量の多さがあげられ※5現場の保育士においては、心と時間にゆとりがなく、あるべき質の高い保育を目指す環境が整っていないと考えられます。
そこで、業務負担を増やすことなく、保育の質を向上させるために注目されている”ドキュメンテーション”ならびに”ICT化”について、自治体レベルでは全国初となる実証実験を行い、「保育の質の向上」における効果を"見える化"していきます。
 新型コロナウイルス感染症拡大で影響を受けた際も、保育現場は変わらず社会インフラとして子どもたちの安心と安全を守るために稼働を続け、幼児期に行われる保育こそがこれからの未知の時代を生き抜いていく子どもたちを育てる大切な場所として、最前線で保育を提供していました。子どもたちをより丁寧に、より豊かにみんなで育てていく、そのためにテクノロジーを活用し、つながり、共有し、対話し、より良い環境を築いていきます。

保育ドキュメンテーションについて
 毎日の保育を"写真付き保育記録"として、子どもたちの様子を収めた写真に保育者のコメントを付け、子どもたちの興味や関心、保育を目に見える状態にすることです。またこれをもとに、保育者同士の対話や振り返りに活用することで「次への発展」を検討し、保護者とも共有をすることで子どもや保育施設への理解を深めていく、子ども主体の保育を実現する手法として注目されている手法です。
 今回の実証実験のプログラムとして保育者向けの研修も組み込まれており、単に日々の写真付き記録に取り組むのではなく、記録のポイントやその後の活用を通じて、保育者や保護者みんなで子どもの育ちを考えていくプログラムとなっています。

ドキュメンテーション、ドキュメンテーションのICT化について
 ドキュメンテーションのICT化とは、写真の撮影から、ドキュメンテーションの作成、周囲への共有までを全てタブレットやパソコン等の端末で行うことを指しています。このメリットは以下2点です。

①関連する記録の紐付け
 日々作成したドキュメンテーションを、一時的な成果物として終わりにするのではなく、長期的な観察を続けることでその効果は倍増していきます。この鍵は、記録の「関連性の管理」にあります。これをアナログな成果物で実施しようとすると、関連性まで考慮したファイル管理が必要となり、非常に困難です。
 一方で、ICTによる作成、管理ではこうしたコストを減らすとともに、手書き等での運用では見えてこなかったつながりまで発見することができます。また、そうして生まれる新たな対話によって保育の質をより高めることに貢献していきます。

②よりスムーズな情報共有
 ドキュメンテーションをもとに保育者同士の対話量を増やすこと、そして保護者に参加してもらうためには情報に手軽にアクセスできる利便性が大切です。手元ですぐに確認できないドキュメンテーション、1部しかない資料では、複数人の保育者がその時々で語り合いを始めることは容易ではありません。また、従来の壁張りの掲示では、保護者は送迎のタイミングでしか見ることができませんでした。データ化して配信するにも、手間が掛かってしまいます。こうした情報共有をICTでよりスムーズに行うことで、ドキュメンテーションの活用を更に発展させていきます。



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(出典)
*1 総務省統計局 「労働力調査平成30年」
*2 厚生労働省 「保育所等関連状況取りまとめ」
*3 厚生労働省 「平成27年 第三回保育士に関する関係資料」
*4 保育士:平成25年社会福祉施設等調査(厚生労働省統計情報部)、看護師:公益社団法人日本看護協会 広報部(2017年) 第1回看護職員需給見通しに関する検討会(保育士は2年未満での離職率、看護師は新卒での離職率を比較)
*5 東京都福祉保健局 「平成30年度東京都保育士実態調査結果」
*6 厚生労働省 「第3回 参考資料1 保育士等に関する関係資料 保育士検討委員会」