写真を活用した保育記録で、こども主体の環境づくりを促進するメカニズムを統計的に実証
保育AI™を中心としたテクノロジーの力で保育や子育てに関する社会課題を解決するユニファ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:土岐泰之、以下「ユニファ」)は、公益社団法人こども環境学会が発行する学会学術誌「こども環境学会誌」(以下「本学術誌」)において、「往還型ドキュメンテーション研修※1」が保育現場の組織改善および保育環境の「質」の向上に与える影響を実証した共同研究論文(以下「本論文」)が掲載されたことをお知らせします。
本論文は、125の保育施設における146事例のデータ分析に基づき、写真を活用した保育記録であるドキュメンテーション※2が、保育者の気づきや協働的な対話を深め、こども主体の保育環境づくりを促進する波及メカニズムを統計的に実証したものです。
ユニファは、今後も保育総合ICTサービス「ルクミー」をはじめ、多様なイベントや各種研修プログラムの提供・運用を通じて、保育者個人の振り返りや園全体の組織的な学びの基盤を支援し、保育現場における働き方改革の推進と、保育の「質」におけるさらなる向上に寄与していきます。

※1:写真を用いた振り返りを行い、園内での対話を活性化させながら保育の改善を進め、こどもの姿を丁寧に見つめていくプロセスをグループワークで実践的に体験・修得する研修
※2:毎日の保育を写真を用いて記録し、その記録を活用して振り返り・予想・計画を行うことで、保育者同士の対話の深まりなどを通じて保育の「質」の向上へつなげる幼児教育法
1.背景
■ 共同研究および論文発表について
全国の保育施設における待機児童数は、受け皿拡大などの対策により減少傾向である一方、一部の地域では保育士を確保できなかったことによる利用定員の減などにより、待機児童が増加した地域や、数年にわたり一定数の待機児童が生じている地域もあるとされています※3。
依然として保育士不足は大きな課題となっており、こども家庭庁においては、保育人材確保の4つの柱の1つとして「保育の現場・職業の魅力発信」 を掲げ※4、保育のやりがいや魅力を伝える取り組みを行っています。その中で、写真をメインとしたこどもの活動記録となるドキュメンテーションは、保育の「質」の向上や保護者との共有、また保育者間の対話などを創出するための日常的な重要アプローチとして位置づけられ、推奨されています※5。
保育現場における「こども主体の保育」がより進む中、保育者がこどもの姿を深く理解し、日々の保育を振り返りながら次の保育につなげる省察的実践は、保育の「質」の確保・向上を目指す上で重要となっています。保育の振り返りに効果的とされる手法のひとつが、こどもの活動プロセスを写真や記録で可視化する「ドキュメンテーション」の実践です。一方、日本の保育現場では、日々の業務負荷の高さから、振り返りや対話のための時間を捻出することが困難であるという課題も指摘されており、ドキュメンテーションの実践が「掲示物の作成」や「記録作業」に留まってしまい、実際の園全体の省察や、具体的な保育環境の改善にまで結びつきにくいという課題がありました。
そこでユニファは、白梅学園大学 名誉教授の無藤 隆氏、玉川大学 教育学部 教授の大豆生田 啓友氏、株式会社保育のデザイン研究所 上席研究員の川辺尚子氏らとの共同研究(以下「本共同研究」)を開始しました。ユニファが実施する研修での学びと日常の実践を繰り返す「往還型ドキュメンテーション研修」が、いかにして保育者個人の省察を促し、職員間の対話を通じて園全体の「こども主体の環境整備」へと波及していくのか、その構造的なメカニズムを、125の保育施設・146事例で分析しました。
※3:「保育所等関連状況取りまとめ(令和7年4月1日) 」(こども家庭庁、2025年4月)
※4:「保育士・保育の現場の魅力発信に関する取組について 」(こども家庭庁、2025年10月)
※5:「ハローミライの保育士 保育士の一日(乳児クラス)」 (こども家庭庁、2024年3月)
■ 研究成果
本共同研究では、組織学習の理論的枠組み(4Iモデル)※6に基づき、延べ146事例のデータを用いた構造方程式モデリング(SEM)※7による統計的分析と、5つの保育施設への保育の「質」に関するインタビューを組み合わせた「混合研究法」を採用しました。その結果、ドキュメンテーションの活用を通じて、以下のステップで園全体の組織改善へつながることが証明されました。
1. 写真が「個人の気づき(省察)」を深める(個人水準の向上)
・日常的に保育の写真を撮り、ドキュメンテーションとして見返す行為が、保育者個人のこども理解や自らの保育に対する客観的な振り返りの姿勢(省察的態度)を有意に向上させた。
2. 写真が共通言語となり「対話の質」を変える(集団水準への強い波及)
・写真という視覚的な共通言語があることで、言葉だけでは伝わりにくい「こどもの姿」や個人の気づきが即座に同僚へ共有が可能。統計分析の結果、「個人の気づき」から「同僚との対話」への波及にはきわめて高い連動性(正の相関)が確認された。これにより、週5〜10分といった短時間のミーティングや日常の隙間時間であっても、写真を基点とすることで、職員間の暗黙知がタイムラグなしに形式知化され、内容の濃い協働的な語り合いへと深化することが確認された。
3. 対話発の気づきが「園全体の保育環境」を変える(組織水準の改善)
・質の高い対話から生まれた職員間の共通理解は、話し合いだけに留まらず、こども一人ひとりの発達や興味に応じた「具体的な保育環境の再構成(質的向上)」へと結実。統計分析においても、高められた「対話の質」が園全体の保育環境を改善させるという、波及効果(パス係数 0.613)※8が認められ、組織全体の保育の「質」を有意に向上させることが実証された。
※6:4Iモデル・・・カナダ・ウェスタン大学のメアリー・クロッサン教授らの研究グループが提唱した、個人の学びが「集団」の対話を経て、どのように「組織」の共通の仕組みや文化へと定着していくかを説明する理論的フレームワーク。プロセスの各段階(直観・解釈・統合・制度化)の頭文字「I」に由来。
※7:構造方程式モデリング(SEM)・・・複数の要因(変数)の間にある複雑な因果関係や影響のルートを、統計的にまとめて検証・実証するための高度な多変量解析手法。本共同研究では、「保育者個人の気づき」が「同僚との対話」を引き起こし、それが最終的に「保育環境の改善」へとドミノ倒しのように波及していくという、目に見えにくい効果のつながり(因果プロセス)を科学的に検証するために採用。
※8:パス係数 0.613・・・ある要因が結果に与える影響の強さを示す統計学上の指標(最大値は1.00)。一般的に、社会科学の統計解析において「0.6」を超える値は「非常に強い因果関係(影響力)」があると判断される。本共同研究では、職員間の「対話・共有の質」が高まることが、こども主体の「保育環境の整備」を強力に促進する直接的な原動力になっていることが実証された(p < .001:偶然である確率が0.1%未満という、極めて高い学術的信頼性を示す)
2. 「往還型ドキュメンテーション研修(ルクミー みらい保育スクール)」について
本共同研究の対象となった「往還型ドキュメンテーション活用コース」は、ユニファが主催する保育施設向けの実践型オンライン研修です。保育・幼児教育の専門家である無藤 隆先生や大豆生田 啓友先生、川辺 尚子先生などに監修およびご登壇いただき、保育中の写真をもとに保育者同士で語り合うワークショップを中心としたカリキュラムを提供しています。
「オンライン研修での学び」と「自園での実践」を繰り返す “往還型” のカリキュラム設計により、日々の保育におけるドキュメンテーション活用を無理なく定着させ、保育の「質」の確保・向上や、園内コミュニケーションの活性化といった組織課題の解決を目指しています。
▼ ルクミー みらい保育スクール詳細 ※2026年度の募集は終了しています
https://lookmee.jp/mirasuku/
■ 論文の概要
・掲載誌: こども環境学会誌(2026年8月発行)
・論文題目: 往還型ドキュメンテーション研修が保育者の省察活動に与える影響
・著者:
・田中 佐知子、島田 健、徳重 晴子(ユニファ株式会社)
・無藤 隆(白梅学園大学 名誉教授)
・大豆生田 啓友(玉川大学 教育学部 教授)
・川辺 尚子(株式会社保育のデザイン研究所 上席研究員)
■ 論文の閲覧について
本論文が掲載されている『こども環境学研究』(2026年8月発行の最新号)は、以下の販売窓口にて一般購入が可能です。
【ご購入・お問い合わせ先】
株式会社たけまる 東京支社(担当:佐貫)
〒167-0051 東京都杉並区荻窪3-47-20 ASTER 7th 2F
TEL:03-3220-5080 / FAX:03-3393-0158
E-mail:takemaru.tokyo@omkonzern.co.jp
なお、発行から1年後(2027年9月頃)に、下記電子ジャーナルプラットフォーム「J-STAGE」にて無料で一般公開(オープンアクセス)される予定です。
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/acej/-char/ja
■ 今後について
ユニファは、本共同研究によって得られた成果を、今後の「ルクミー」の運用や「往還型ドキュメンテーション研修(ルクミー みらい保育スクール)」をはじめとする各種研修・イベントにさらに活かしていきます。また、日々の記録がこどもたちの成長を支え、保育を豊かにする力となるよう 、今後も現場に寄り添った実践的支援で、保育者が心にゆとりをもってこどもたち一人ひとりと丁寧に向き合える環境づくりを推進し、保育現場の持続可能な発展に貢献していきます。
3.ルクミーおよびユニファについて
■ 保育総合ICT「ルクミー®」とは <https://lookmee.jp/>
保育者の業務は、こども達の登降園管理やお昼寝(午睡)時の見守り、保育日誌や保育計画の作成、保護者や自治体へ提出する書類作成、保育者のシフト管理まで、非常に多岐にわたります。
「ルクミー」シリーズは、登降園状況や検温、食事、排便などのデータや、ルクミーフォトで撮影した写真、ルクミー午睡チェックにより自動記録した睡眠データを自動で集約し、帳票や連絡帳へ自動転記します。また、ルクミー午睡チェックでは、センサーが体動を検知し、アプリが体の向きを自動で記録します。「ルクミー」シリーズにより、保育関連業務をDX(デジタル・トランスフォーメーション)し、業務負荷の大幅な削減を実現し、保育者の心と時間のゆとりの創出を目指します。また、創出できた時間によって保育者にとって重要なこどもと向き合う時間を増やし、写真ドキュメンテーション作成機能の提供により、保育者同士でこどもたちの成長に関する気づきをさらに共有しやすい環境を作り、豊かなコミュニケーションを増やします。これらを通じて、保育者のやりがいの創出や保育の質の向上にも貢献します。これまでの「ルクミー」シリーズ導入数は累計25,000件超であり、約80の自治体へ導入されています※。
※2026年8月時点(自社調べ)
■ ユニファ株式会社 <https://unifa-e.com/>
ユニファは、保育・育児関連の社会課題解決を目指す“Childcare-Tech”領域のスタートアップです。「家族の幸せを生み出す あたらしい社会インフラを 世界中で創り出す」をパーパス(存在意義)に、保育AI™を中心とした最新のテクノロジーを活用した保育総合ICTサービス「ルクミー」を開発・提供しています。「スマート保育園®・スマート幼稚園®・スマートこども園®」構想を通じて、子育てしながら働きやすい豊かな社会作りに貢献しています。2017年にStartup World Cup初代チャンピオンに選出をはじめ、これまでに著名なアワードを複数受賞しているほか、2021年にJ-Startup 、2023年10月にはJ-Startup Impact に選定されています。また、2023年2月に設立された一般社団法人こどもDX推進協会の代表理事も務めています。2025年8月には、経済産業省主催の「日本スタートアップ大賞2025」にて「審査委員会特別賞」を受賞しました。
※スマート保育園®・スマート幼稚園®・スマートこども園®はユニファの登録商標です。

■ 会社概要
会社名: ユニファ株式会社
代表取締役CEO: 土岐泰之
設立: 2013年
所在地: 東京都千代田区永田町2-17-3 住友不動産永田町ビル 1F
企業URL: https://unifa-e.com/
